当社は、8月28日付けで、学校法人自治医科大学(以下、「自治医大」)と、自治医大が出願中の特許、「神経系細胞への遺伝子導入のためのアデノ随伴ウイルスビリオン」(PCT/JP2011/075240)の日本国内及び海外全域における実施権に関し、期間20年の特許実施契約書を締結しました。
本件特許における発明の改変型アデノ随伴ウイルス(改変型AAV)は、AAVが血液脳関門を透過し神経疾患の遺伝子治療に適していることに加え、改変することによって目的とする遺伝子を脳脊髄の神経細胞選択的に発現することを可能にしたものであります。筋萎縮性側索硬化症(ALS)やアルツハイマー病等の神経性疾患の治療においては、脳や脊髄で可能な限り多くの神経細胞に遺伝子導入することが望まれておりますが、この改変型AAVベクターは9型の外被蛋白のうち446位及び731位のチロシン残基をフェニルアラニン残基に変換することにより遺伝子導入効率を向上させているほか、神経細胞特異的に遺伝子を発現させるために、synapsin1プロモーターを使用しています。
AAVは遺伝子治療のベクターとして欧米においても臨床研究に用いられており、病原性がなくウイルス増殖能も欠如している点において安全性が高いため、世界的に注目されております。当社といたしましては、本件特許の「改変型AAV」を応用し、ALSやアルツハイマー病等の神経性疾患の治療を早期に実施することを計画しており、先行する欧米の遺伝子治療を追随し、日本国内のみならず海外、特にアジア・中近東地域での遺伝子治療の実施を展開することを視野に入れております。